龍子の扉


龍子は、中谷吉隆の俳号です。

始めようフォト俳句

第4回 いい作品を作る

作品
ある年の十二月初旬、東京・神宮外苑の銀杏並木は落葉し、舗道は黄色いじゅうたんのよう。作今の自転車ブームもあって、洒落た自転車が行き交う。愛犬を連れての散歩にも出会い、そういった光景をスナップしておいた。俳句は、二年後の昨冬にできて組み合わせてみた。暖かな冬の一日を、楽しむ人々の雰囲気を出せたと思う。季語は、小春日も考えられるが、自転車からしてスポーティな冬帽子を被っているとした。
写真と俳句の間をどう「付かず離れず」の関係にできるか。例えば、桜満開の美しい写真に、桜そのもものを詠んだ高浜虚子句〈咲き満ちてこぼるヽ花もなかりけり〉では付き過ぎであり、また、芭蕉句の〈夏草や兵どもがゆめの跡〉に、単に夏草の生い茂る写真でもイメージは広がらない。

コラボレーションの妙が飛躍を生み、思わず頬がゆるむ滑稽さ、ウイットのある作品になるが、かけ離れすぎると判じ物になり、合わせる双方の季節のずれ(春の写真に秋の句)が起きると違和感が出てしまう。

作品の作り方では、2L判プリントの写真をA4サイズの用紙に貼る。写真は上か下か、左か右かも考える。俳句は一行、多行書きかのバランスを考慮して書き、しばらく壁に貼り眺めて、写真と俳句の関係に違和感があれば、写真を取替えたり、俳句を替えたりし、最後に落款を押して完成となるが、どんな額装にするかを考えるのも至福の時間だ。

また、今は、パソコンで簡単に写真に俳句を書き入れられる。私は写真も俳句も大事にすることから、あくまでも一対一の関係を重要視している。折角の写真の画面が壊れ、入れた俳句が読めない状況も起きるからだ。

文字が下手、悪筆にかかわらず、自分で墨書することを勧めている。これは、撮る、詠む、書くの三位一体が、アートとしての味わいと風合いとなり、作品の達成感を得るとともに愛着も増すからである。

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